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英語学習本レビュー。西村喜久著「すごい!英語は前置詞だ!」の感想

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中学校や高校で英語を習っても、なんとなくぼんやりしていて、使い方が難しいのが「前置詞」です。日本語では、「学校に行く」の「に」や「我が家へおいでください」の「へ」などを「助詞」と呼びますが、英語ではこれに当たるものを「前置詞」や「副詞」で表現します。簡単そうに見えても、「前置詞」の使い方は日本人にはとても難しいものです。

(例1)「学校に行く」・・・「go to school」

「to」(前置詞)を使うのはよく知られています。しかし、この場合はどうでしょうか。

(例2)「家へ行く」・・・「go to home」??

「家」という語の「home」を使う場合は、「go to home」とは言えません。「go home」と使います。

このように、「前置詞」は日本人には感覚的にはとても分かりにくいものです。「前置詞」の感覚をきちんと知ることで、英語をより正確に表現できるようになり、より豊かな表現を身に着けることができます。

 

前置詞が詳しく学べる英語学習本「すごい!英語は前置詞だ!」

中学生までは運動部に所属し、英語が大嫌いだった著者。しかし、あるきっかけから英語を猛勉強し始め、「西村式」と自負する誰にでも分かりやすい英語を目指して研究を続けている著者の一冊です。

苦労を重ね、自力で単語を習得した経験や、英語教育を根本から変化させたい思いで設立した「滋賀英会話学院」での体験をもとに、面白おかしく「前置詞」を説明しています。

 

本の構成

Introduction 前置詞と副詞の基本
Chapter 1   前置詞の動き・空間・距離・方向・時間 
Chapter 2    前置詞の選び方
Chapter 3    前置詞の円運動
Chapter 4    副詞+前置詞
Chapter 5    形容詞+前置詞(副詞)

著者は、「英語はとにかく分かりやすくなければならない」という一貫した精神を、Chapter1~5でよく見てとれます。Introductionの導入部分では、タイトルだけを見ると他の文法書が想像され、読みたくない心境になるかもしれません。しかし、そうではありません。イラストや表などを多用し、「分かりやすく」という信念を貫いた「面白おかしい」説明で終始しています。気楽に読め、かつ真剣さが伝わってきます。

注目すべきは、Chapter2です。日本人が迷いやすい「前置詞の選び方」がイラストと表をたくさん使い説明されています。サブタイトルは「どこが違うの!?」です。

「toとfor」、「byとforとuntil」など、ネイティブスピーカーがどのような感覚で「前置詞」を使っているかという分かりやすい説明によって、より深く英語の表現方法を身に着けることができます。

例えば、「to」は「もとの場所に戻らない」、「for」は「もとの場所に戻ってくる」という根本的なイメージの違いを分かりやすく説明しています。

 

コラムや体験話が面白い

著者は自分で「無駄話」と言っていますが、ところどころ急に現れるコラムや体験談が読んでいてとても面白くためになります。急に書いてあるところも、読者を飽きさせない工夫と、著者の性格がよく表れている部分です。まじめに語っているけど内容が面白く、どんどん読み進めていくことができる構成になっています。

ぜひ、著者の苦労話から英語習得の面白さを汲み取ってみてください。

 

文法を難しいと感じさせない工夫

「前置詞」と聞くと、「ああ、また文法か。もういいよ。大変だし、飽きた・・・」なんて声が聞こえてきそうです。しかし、著者のパーソナリティ溢れる文体と、様々な工夫された大きなイラストと表によって、読者を魅力してくれます。

本書では「前置詞」だけに特化していることで、飽きやすい文法習得もリズムを持って習得できる点は、髙く評価できます。

つまらない本を読む時間ほど無駄なものはありません。この一冊はそうではなく、楽しく読めて、読んだ後には爽快感が感じられるほどです。

 

まとめ

単調な習得になりがちな文法を、著者独自の視点で「無駄話」を交えながら面白おかしく語ってくれる一冊です。日本人にはとても分かりにくい「前置詞」だけを取り上げ、「分かりやすくなければならない」という一貫した精神をもとに、本当に分かりやすく「前置詞」を身に着けることができます。英語表現の幅をますます広げてくれる一冊です。

紹介した本の情報

  • タイトル: すごい!英語は前置詞だ!
  • 著者: 西村喜久
  • 出版年:2011年
  • ISBN:978-4-7569-1463-7
  • 出版:明日香出版社
  • 本体価格:1300円