Kindle英語学習本「ネイティブが教える英語の時制の使い分け:デイビッド・セイン著」の感想
中学や高校では、外国人に自分の意思をきちんと正確に伝えることは教えてくれなかったのではないでしょうか。特に動詞の時制。
英語の文法は。S(主語)、V(動詞)が中心となり骨組を作ることは知っていると思います。しかし、語彙を覚えるのに必死になって、その使い方をあまり知らないのが、実はV(動詞)なのです。
S(主語)は名詞なので、その意味の単語をそのまま覚えれば何とかなるのですが、そのS(主語)の後にくるV(動詞)がとても重要な役割を果たしています。
V(動詞)は、時間を決めます。時制は過去、現在、未来と大まかに分けると3つの区域がありますが、それに加えて、進行形、完了形が追加され構成されています。
V(動詞)の時制区分け
現在を表現する
(1)現在形
(2)現在進行形
(3)現在完了形
(4)現在完了進行形
過去を表現する
(5)過去形
(6)過去進行形
(7)過去完了形
(8)過去完了進行形
未来を表現する
(9)未来形
(10)未来進行形
(11)未来完了形
(12)未来完了進行形
自然な英語表現をするためには、少なくともこの12種類の時制の使いかたを知っておかなければなりません。
しかし、文法的には正しくても、それが全てネイティブには自然に聞こえるかどうかは疑問なところです。
そこでおすすめするのは、英語の時制をネイティブの立場から判断できる、自然に使えるものと使えないものザックリ切り分け、解説してくれる一冊です。
動詞の時制をネイティブの視点から鋭く切り込んだ一冊「ネイティブが教える英語の時制の使い分け」
1959年アメリカ生まれ。証券会社などを経て、日本で30年の間に渡り、数万人もの日本人に英語を教えてきた著者「デイビッド・セイン」による説得力のある一冊です。本の構成は非常にシンプルです。
本の構成
1章 時制の基本
2章 動詞別 時制の使い分け
3章 時制と副詞表現の相性
シンプルな構成であるがために、V(動詞)に焦点を当て、詳しく触れている点はとても魅力的です。
一度英語を勉強したけどまた勉強を再開したい人、大学受験やTOEIC、TOEFLの試験などで文章をより正確に読みたい人にとてもおすすめできる本です。
英語の文法の柱の一つであるV(動詞)の12種類の時制の形を、分かりやすい単語を使った短い文から検証し、それがネイティブには自然に伝わっているかという厳しい目で、一つずつ正確な説明をもとに説明しています。
ネイティブではない人に向けての本ですので、解説もとても分かりやすく書かれています。各セクションでは、基本となる動詞を取りあげ、まず質問(Question)からスタートしています。
いろんな時制で書かれたよく似た例文(2~6文)がずらりと羅列されています。
その空所に自分なりの解答を記入することができるようになっています。
<各セクションでの質問形式>(2~6文程度の例文があります)
扱う動詞の原形
( ) 例文1
( ) 例文2
( ) 例文3
・・・
この空欄の中に、自分なりの答え(◎・○・?)を書き込みます。ここで面白いのがマークの記入方法です。
<ネイティブからみた文章の評価>
・ネイティブにとって自然な文・・・・・◎
・まあ大丈夫かもしれない文・・・・・・○
・ネイティブにはとても不自然な文・・・?
ネイティブにしか理解すること(感じること)が出来ない言い方も、このように3つに区分することでその理由を丁寧に解説しています。
残念な点を挙げるとすれば1点だけ。3章「時制と副詞表現の相性」です。
動詞でよく使う副詞の解説はとても分かりやすいです。
「now」と「just」の解説はそれぞれ丁寧に書いてあるのですが、多くの人が疑問に思う「just now」と時制の関係を説明していないところです。
まとめ
英文をネイティブレベルで詳しく解説している本が少ない中で、とてもよい本です。
英語の本質を決める動詞の時制に着目して、よりネイティブらしい表現に近づくことができる一冊です。
紹介した本の情報
- タイトル:ネイティブが教える英語の時制の使い分け
- 著者:デイビッド・セイン、古正佳緒里著
- 出版年:2016年
- ISBN:978-4-327-45274-2
- 出版:研究社
- 本体価格:1700円