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ギルバート・グレイプの英語のタイトル『What's Eating Gilbert Grape』にあるeatの意味

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英語には意外な意味を持つ単語がたくさんありますよね。有名なところでは、「走る」を意味する「run」が「(店などを)経営する」という意味になったり、「動かす」という意味の「move」が「感動させる」になったり。

しかしよく考えてみれば、「経営する=店を走らせる」、 「感動させる=心を動かす」ということですので、聞けばなるほどと納得するものばかりです。 日本語とは言葉の使い方にややズレがあるのです。  

今回は、そういう意外な意味を持つある単語に注目してみたいと思います。    

 

ギルバート・グレイプ』という映画をご存知でしょうか?

  1994年に公開された、ジョニー・デップレオナルド・ディカプリオが出演するほろ苦い青春映画です。 邦題の「ギルバート・グレイプ」というのは主人公の名前なのですが、実は原題は少し違います。 『What's Eating Gilbert Grape』がもともとのタイトルです。  

   不思議なタイトルではありませんか?   うっかりすると「ギルバート・グレイプは何を食べていますか?」と訳してしまいそうです。ですが、その訳だとすると、   What is Gilbert Grape eating? (ギルバート・グレイプは何を食べていますか?)   が正しいですよね。今回の英文は全く違う意味です。  

もう一度タイトルの英文を見てみると、「Gilbert Grape」は「eating」の後ろにあります。 ですから「〜を」を表す「eating」の目的語です。つまり、「Gilbert Grapeをeatingする」という意味になります。 また、「What」が文頭にありますが、「?」が末尾にありませんよね。 この場合のWhatは疑問詞ではなく、「~もの」あるいは「~こと」と訳す関係代名詞になります。

それを踏まえつつ直訳してみると......「ギルバート・グレイプを食べているもの」となります。 これではゾンビ映画になってしまいます......。    

 

実はよく使う慣用表現だった!「What's eating you?」の意味とは?

  そう、今回の「eating」の原形「eat」には意外な意味が隠されているのです。   英語圏でよく使われる話し言葉には、こんなものがあります。  

What's eating you?   「何があなたを食べていますか?」なんて、日常的に使いませんよね。

ここでの「eat」はもともとの意味である「食べる」から派生した意味で使われています。 もし食べられたら、当然痛いですよね? 苦しいですよね? そこから「eat」には「苦しめる、困らせる、いらいらさせる」などの意味が与えられているのです。 Whatが主語の役割を果たしているので、「何があなたを苦しめていますか?」という意味になるのです。      

「What's the matter?」や「What's wrong with you?」などと似た意味の慣用表現です。 この2つの言い回しは使いやすいゆえに多用してしまいがちですが、「What's wrong with you?」は、あからさまにいやそうな態度を取っている人を責めるようなニュアンスになってしまうので、控えた方がいい場面もあります。 その代わりに「What's eating you?」は最適な表現です。責める意味合いはありません。 バリエーションを増やす意味も含めて、このまま覚えておくと 便利かも知れませんね。      

こうして考えてみると、「What's Eating Gilbert Grape」は「ギルバート・グレイプを苦しめているもの」という意味になるのですね。 分かってみれば作品の本質を見事に言い表した素敵なタイトルです。 学んだ英語の知識から、映画の新たな側面が見えてくることもあるかもしれませんね。      

 

「苦しめる」以外にも「eat」の持つ知られざる意味が

  「eat」を使った表現には、こんなものもあります。  

  • 「eat one’s word」(自分の言ったことを取り消す)
  • 「eat metal」(金属を腐食する)      

どちらも「食べる」から派生した表現です。英語の「eat」はとても広がりのある言葉なのですね。 これらの意味をしっかり理解し、使いこなせればそれだけで表現の幅はぐっと広がるはずです。